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健康経営優良法人

ADHDの薬物治療について

ADHDの薬物治療に、現在では主に2種類のお薬を選択し使用しています。
1つは「コンサータ」(メチルフェニデート塩酸塩)と呼ばれるものと、もう一つは「ストラテラ」(アトモキセチン塩酸塩)と呼ばれるです。
これらのお薬にはADHDの主な症状でもある「不注意」や「多動性」「衝動性」などの改善効果があります。その他の効果としても、うつ病や強迫性障害等の発症のリスクも軽減する効果があると言われています。

「コンサータ」と「ストラテラ」の違い

コンサータは中枢神経刺激薬です。
効果は飲み始めると比較的早い段階(一週間以内)で効果が出ることが多く、服用後は12時間ほど効果が持続します。
脳に働きかける範囲は前頭前野、線条体、側坐核に働きかけ、その作用としてドーパミン等の取り込む量を増やします。

特にコンサータは1つのことに集中するための力が上がるので、勉強や宿題等の1つのこと(シングルタスク)に対する効果があり、やる気や意欲の向上を後押ししてくれ、他にも気持ちの切り替え等にも効果が表れます。
しかし、副作用として、食食の低下、不眠、動悸、体重の減少やめまいといった症状が現れるほか、重大な副作用としては狭心症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)、脳血管障害(脳梗塞、脳卒中等)などの可能性があります。コンサータには依存性もあり、認定を受けた医師のみが処方をすることができます。

ストラテラは非中枢神経刺激薬です。

効果はゆっくりと出始めるので早くはありません。おおよその期間として約2週間で不注意や、多動性、衝動性の改善がみられるようになり、その効果が安定するまでは約1カ月半~2カ月程度かかると言われており、即効性はないものの、ストラテラは薬効が途切れることなく持続することができます。
脳に働きかける範囲は、主に前頭前野に働きかけ、その作用としてノルアドレナリン等の取り込む量を増やします。
ストラテラは複数の作業を同時に行ったり、物事の段取りや優先順位をつけること(マルチタスク)がスムーズになる効果があり、周囲に対する視野を広げることなどにも効果を発揮しますので、「スイッチの切り替えがスムーズになる」というイメージに近いのではないでしょうか。
副作用としては、頭痛、食欲不振、眠気、腹痛、吐き気といった症状が現れるます。ほかにも身長や体重の伸びが緩やかになる傾向もありますが、一時的なものであると言われています。
重大な副作用として肝機能障害・黄疸・肝不全や、特に気を付けなければいけないものとしてアナフェラキシーがあります。ただし、これらの重大な副作用に関しては非常にまれな副作用とされています。
ストラテラは一般薬の扱いになりますので、処方についてはどの医師でも処方が可能となっています。日本では2009年に18歳未満の子どもに対する使用を承認されましたが、6歳未満の子どもへの安全性と有効性に関して、現在ではまだ確立はされていません。

薬物治療はした方がいい?しないほうがいい?

「薬物」というイメージや副作用の要因から、薬物治療に関しては抵抗を示される方も少なくはありません。
発達障害等の脳機能の障がいによって、自身をコントロールすることに困難をもっている人たちにとって、有効的な効果を示しているお薬を、薬物治療という言葉のイメージだけで捉えて拒否することは、改善効果をはかる手段の選択肢を狭めてしまっている恐れもあります。
また、ADHDの治療方法として、薬物治療が全てではありませんが、お薬に全く頼らずに、療育や訓練のみで抑制することは、十分な効果を発揮するうえでは、弊害となる可能性もあります。
しかしADHDの治療薬は、あくまで改善のための補助をしてくれるものであり、ADHD改善の為の万能薬や魔法の薬ではありません。
大切なことは、そのお子さまがADHDの症状により、生活において困難をきたしていることを改善することです。
お子さまの状態や状況に応じて、お薬を使用したほうが良いのか、使用する必要が無いのか、またどのような方法で支援を行っていくことが効果的なのか等を、医師や専門家と相談しながら決めていくことが大切ではないかと思います。

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